外科手術後の腫れの不安
インプラントの手術をする場合、ほとんどのケースでメスによる歯肉の切開、歯肉と骨の組織の剥離を行います。 ケースによっては減張切開といわれる組織の下にメスを入れるテクニックを併用する事もあります。 これは手術後の縫合をより確実にする為の術式です。

基本的に切開、剥離をすると腫れやすいと思って良いでしょう。減張切開をするとさらに腫れるといわれています。 切開、剥離の量が多いほど腫れるといわれていますので、インプラント手術時に埋め込むインプラントの本数が多いほど腫れるといえます。
インプラントの本数が多いほど腫れるのは、切開量以外に手術時間が長くなる事も要因でしょう。 インプラント手術に限らず、歯科医師は外科手術は、手術時間が長くなるほど腫れるということを経験的に知っています。 例えば、同じ1本の歯の抜歯ですが、10秒で抜けた歯の場合、術後は腫れにくいし、10分かかった場合、腫れやすいのです。
なぜ、腫れるのかと言うと、切開によって毛細血管は切断され、本来の血流が途絶えることもあるでしょうが、 途絶えるのは血流だけでなく、リンパの流れも同じ事がいえます。リンパ液は血液のように赤くないので目立ちませんが、 生体の維持にとっては非常に重要なのです。
最近、フラップレス法というインプラント手術がある事をご存知でしょうか?
フラップとは、剥離をする事です。つまり、フラップレスとは、切開剥離をしない手術法です。
なぜ、剥離をしないで顎骨に到達できるかというと、 専用の器具でインプラントを埋める部分だけの歯肉にパンチングして、穴を開けるのです。 その部分だけ歯肉をくり抜き、そこに現れた骨に対し、インプラント手術を行うやり方です。
メスを使わない手術によって、縫合もいりません。 フラップレス手術は、出血が少ない、手術時間の短縮の他、血流、リンパの流れを遮断しない、腫れないという特徴を持っています。
フラップレス手術は、外科の経験が浅い歯科医師やCTスキャンを使った術前診断を行わない歯科医師が行うのは危険な事です。 腫れたくないからと言って、なれない歯科医師にフラップレス手術を申し出るのは危険です。 歯科医師のフラップレス術式の診査・診断法や実績を確認しておきましょう。
インプラントフラップレス手術情報
フラップレス術式のメリット
- メスを使用しないため出血が少なく、手術後の腫れや痛みが少ない。
- CT撮影とコンピュータ設計によって素早く手術を行うことができる。
- メスで切開しないため、歯肉の治りが早い。
フラップレス術式に必要な条件
- CT撮影
- コンピュータ設計
- 担当歯科医が、歯科、インプラント、コンピュータに正確な知識と高度な技術を持っていること
- 患者に、充分な量の良質な骨があること。
たとえインプラントに熟練した歯科医師でも、フラップレス手術はまったくの別物と考えてください。安全、確実の裏にはしっかりした技術、知識、環境が必要なのです。